
その昔、原田知世は吉川晃司の大ファンで、自分のアルバムに「葡萄畑の走り方」って曲を提供してもらったなどということを憶えている人ももうあまりいないのかなあ?
この映画、私の好きなその吉川晃司やら原田知世やらが出るという予備知識しかなかったのです。
どこも上映を終えてしまっていて、残っていた丸の内ピカデリーへ「やっぱり観ておこうかな」ぐらいのモチベーションで行ったのです。
上映館が限られているためか、来場者も多くあまりよい席も残っていないとのこと。すると考えることは一つ。今はどこもシネコンばかりになってしまっていて、大きなスクリーンで見れるのはマリオンに来たときぐらい。そこで迷わず前の方の席にしました。
私は大きなスクリーンを、ちょっと不自然なぐらいの首の角度で見上げて見ることが時々非常に恋しくなるのです。
この不自由さは、今やお金を出さないと経験できないw
結論から言うと、この映画やっぱり観ておいて良かった。
映画は、木戸晋一(豊川悦司)がBill Evansの「Waltz for Debby」のレコードに針を落とすところから始まります。当然流れるのは1曲目「My Foolish Heart」。のっけから、雑音のない広い空間で大音量でScott LaFaroが聴くことができたことに感動です。
「Waltz for Debby」は、私にとってとても大切なアルバムで、無人島盤とも言えます。
そして、この映画もまた、終始このシチュエーションをフィーチャーします。
さびれたジャズバー「Foolish Heart」のマスター木戸晋一は、流行らない店で毎日、弾かれることのないウッドベースを磨いています。彼はかつて恋人をおいてニューヨークへ渡ったベーシストです。成功の兆しが見えた頃、彼女をニューヨークに呼びましたが、彼女は来なかった。そして情熱を失った男はベースをおいてしまう。未練のように、待つように、いつか情熱が戻ることも賭けであるかのように用意しながら。
大鳥銀二(吉川晃司)は、服役とともに女に愛想を尽かされたヤクザ。裏切った女を
「許せネェ!。。。けど惚れてる。。。」
吉川晃司のことを「変に格好つけているからキライ」と言う人がいる。でも格好つけているところがズレているのか、ズレ方がカッコイイのか、そこがカッコ良いと思うのですwそして、すごく良い歳の取り方をしている。以前では絶対にやらなかったようなことでも、メディアですんなりやって見せるようになった。
そして、私はサンタクロースがグラサンを掛けているのを知ったとき、思わず涙してしまいましたw
この作品、デートムービー的な割には、BGMとしておしゃれだという理由でジャズを起用しているようではなく、非常に「Waltz for Debby」というアルバムへの愛情を感じます。
劇中、佐伯静江(原田知世)は、「My Foolish Heart」の鼻歌を歌いますし、木戸晋一(豊川悦司)による同曲のベース演奏もあります。
パンフレット内のキャスト紹介には、このようなアソビ心もw
そして、イブの夜は私もグラスを傾けながら、「Waltz for Debby」を掛けてベースを抱えているのかなあと。。。




